鈴木博文『はじめての作詞 ことばの種から歌を育てる』(フィルムアート社)
素晴らしい本、とはこの本のことだ。博文さんの優しさと輝きが、そして照れやセンチメンタルが、この本自体の一文一文に溢れていて、この本自体が詩である。
うつくしいもの
わたしみづからのなかでもいい
わたしの外の せかいでも いい
どこか「ほんとうに 美しいもの」は ないのか
それが 敵であつても かまわない
及びがたくても よい
ただ 在るといふことが 分かりさへすれば、
ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ
〈まえがきに掲げられた、八木重吉『秋の瞳』(1925)より〉
