森鴎外『即興詩人』を青空文庫にて読了。
アンデルセン原作以上に傑作と云われる鴎外版は文語体で旧漢字。読むのが難しいと想って安野光雅訳の現代語版も持っているのだけれど、鴎外の文語体は読むほどに虜になる。圧倒的に華麗で流麗で、そして即興詩人がイタリア各地を遍歴するこの作品は、圧倒的に頗るおもしろかった!

「我は我恋人を獲たり。我恋人は自然なり。自然よ。汝はわがためにその晴れやかなる天を打ち明けて何の隠すところもなし。汝はそよ吹く風の優しきを送りて、我額我唇に触るることを嫌はず。我は汝が美しさを歌はん、汝が我心を動す所以を歌はん。」